六月二十九日夜、夢創館へどうぞ

 音楽が好き。ジャンルにはこだわりがない。ジャズやタンゴなどもご機嫌である。どんなに疲れているときも音楽に癒されている。そして素晴らしい音 楽を見つけたら、家族、友人、まわりの皆に「すてき」をおすそ分けしたいと思ってしまうお調子者の、ややお節介でもある。その音楽があまりにも魅力的な ミュージシャンと出会い、みんなにも聴いてほしくて、それだけの気持ちで夢創館のコンサートを開催してしまったのは昨年夏であった。

 まだ知人の少なかった恵庭で、それでも人が人を紹介してくれ、多くのまちの方々の助けと応援をもらって公演は実現した。どう計算しても最初から赤字で、総出の手伝いをさせた家族には大いにひんしゅくをかったのだったが悔いはなかった。

 石造りの器の空気と音がアコースティック音楽にぴったり。気持ちが良い演奏ができる会場だと、夢創館はアーティストに高い評価を受けた。こんな素 晴らしい音楽を恵庭で楽しめるなんて思わなかったと、私を抱くようにして労ってくれた方もあった。新たな出会いと勇気をいただいた。

 出会いと勇気は今年、『音のしずくの会』結成へとつながる。優れた音楽を我がまちで共に楽しみ公演の苦労は分かち合うという会である。いい音楽を味わうワクワクに加え、公演成功かどうか怖いという、スリルも共有できる仲間である。

 そして、昨年来てくれたフルーティスト赤木りえさんが「こんなギタリストが日本にいるなんて信じられないくらいスゴイのよ!」とスパニッシュコネ クションの音楽を教えてくれ、また別の知人から紹介されたまさにそのギタリスト伊藤さんが「夢創館はいいと赤木さんから聞きましたよ。」と言ってくれて、 六月二十九日の公演は決まった。

佐山さつき