ご苦労さん?

 手続きや問い合わせほかの用事で官公庁へ出向き、用を済ませての帰り際、こちらは「ありがとうございました」と言うのがほとんどなのだが、返ってくるのに多いフレーズが「ご苦労さん」であることに驚く。

 特に、どうも天下り職員がほとんどのように見えたりする国の出先機関では、各種相談・手続きにやってきた人々に対して「ご苦労さん」的な接客をしているのを目にする機会が多く、そういう場面に出くわしてしまうと一瞬にして不快になる。

 ねぎらっているようには、ちっとも聞こえないのである。

 そういう年配の職員は過去に長く、部下や後輩に対し、また出入りの業者さんに対して「ご苦労さん!」と言い放ってきたのだろうと想像してしまう。ふむふむ、この方、お殿さまなのね、と思いながら、お顔をまじまじと拝見してしまったりする。

 例えば民間企業では、社員に対して「ご苦労さん」と言えるのは社長、専務くらいのもの。そういった役員であっても、相手が取引先ならもちろん、普通は仕入れ先の方にも、ねぎらいの言葉は「お疲れさまでした」である。

 「ご苦労さん」は、無知ゆえならば、まだ許せる。まわりの誰かがそっと教えればいいのだから。

 もしも、わかっていてもつい言ってしまうのだとしたら、無知と間違われるので、即刻やめよう。

 さらにもしも、「お疲れさま」というべきところを、どうしてもそうは言いたくない、自分を格下に感じてしまうから、という者があるのなら、そういう方は市民、国民のために働く職場にいるべきではないと、私は思う。

佐山さつき