相性のせい?

 相性とは不思議なものだ。悪いとヒサンである。

 いつもは、まあ、まともな方だろうと思える自分が、相性の悪い相手に対したとたん、めちゃくちゃイヤなヤツに変貌させられてしまう。相手のひとこ とがやたら気に障り、口答えしないと気がすまなくなる。ふふんと軽く聞き流すか、やり過ごすべきところを、だ。例えば、そう、スピード違反で捕まったと き。

 大型トラックの後を快適に走っていたら、トラックは先に行ってしまったのに、自分は赤灯を振られて、あーあ。

 「なんで私だけが捕まる?」

 動揺のせいでポロリと口走るのは許してもらうとして、問題はその後に起こるのだ。

 「私たちは公平に取り締まっていますから。」

 ここで私の人格崩壊スイッチが、オン!

「公平?公平に取り締まれるわけなんて、ないでしょう。そういう子どもだましのマニュアル言葉は人を馬鹿にしているのだと、気づかない?」

 『公平な』取り締まりなど、現状では不可能なんである。運が悪かったとは言えないが、こういうこともあるし、安全のためにも決してスピードを出さないようにねと、そのようにさとされる方が大いにましだと悪態をつく。違反を棚に上げ、まさに駄々っ子だ。

 免許更新では持参写真の粒子が粗いと指摘され、普通なら、あらごめんなさいと出直すところ。

 「本人確認用なら安全協会のひどいインスタント写真よりよほど目的に合うと思いますけど。」

 相手が相手だとどうしてもこうなるのは、もう、かなり相性が悪いとしか思えない。そんな相手がほかにはないというのも、不思議だ。

佐山さつき