ペンネーム?

 ゆのみのコラムが掲載されて、知人からメールや声をいただいた。まずの反応がおしなべて、「ゆかりって、ペンネーム?」

 遠出しており、まだ掲載紙を手にしていなかった私には何のことか、ちんぷんかんぷん。

 「ええっ、ゆかり?」

 ペンネームを使うほどのもの書きでもなく、人のを考える機会はあっても、自分にペンネームをつけることなど思いつきもしなかった。

 何かの拍子にフィクションでも書き、ペンネームが必要になったとしてもきっと、「ゆかり」とか「かおる」とか「さやか」などといった、品行方正・爽やか風情のネーミングはできないと思う。だって、てんで似合わないのだもの。

 「じゃあ、どんなのがいいっていうの。」

 ええっと、例えば京極龍子とか、鬼龍院昇子とか・・・と並べたら、あんたってヘン、と鼻であしらわれた。

 私は、名前や姿を変えてものを言うということができない。匿名も考えられない。

 ものを尋ねるにしても意見を言うにしても、自分はこういう者で、こう思うのだけれど、皆さんのお考えはどうなのでしょう、私の認識に間違っている点があったらお教えくださいね、というのが実名で行動する意味と思っている。

 自分の意見を、これが市民の声だとすり替えるのも好かない。それで、これは私が思うことだと、念を押すように言ったり書いたりすることも多い。間違いに納得したら、「私が」ごめんなさいを言うのである。こだわったり守ったりするメンツなど、私にはない。

 だから、冷や汗もかき、いつも謝ってばかり。

佐山さつき