音楽の楽しみ2

 キャンプ場の朝。アウトドア仲間の子ども、かおりちゃんがリコーダーを練習している。『北の国から』のテーマ曲だ。私は、ちょうど車に積んでいた バイオリンを取り出してリコーダーに合わせる。かおりちゃんはこちらを見上げて驚いた顔。しかし状況をすぐ把握して、ささやかなアンサンブルとなった。

 おとなたちも集まってきた。キャンプ場にバイオリンが出てくるとは思わなかったよと言いながらふたりを見守り、穏やかな時間が流れていく。

 私はアンサンブルが大好き。二重奏や四重奏、弦楽合奏など、いわゆる室内楽のジャンルである。指揮者はなく、互いに音を聴き合いながら呼吸を合わせ、心地よい音を作るのがたまらなく楽しい。

 いま参加しているアンサンブルは千歳、恵庭、苫小牧のメンバーが集まる地元の弦楽合奏団。プロもビギナーも自分のような中途半端もおり、アンサン ブルとしてはまだまだ。というか、正直に言ってしまうと、根気よく指導してくれるプロ以外は、自分を含めて大いにヘタなんである。

 ところが先日、恵庭のガーデンコンサートに出演させていただいた。美しいオープンガーデンにはたくさんの花が咲き、爽やかな風が通る緑の回廊に、木もれ日がきらきら。そんななかで演奏する側はめちゃくちゃ気持ちがいい。

 音楽の拙さはさておき、素晴らしい空間と温かい応援の拍手に助けられ、聴いてくださった人々とともに楽しい時間を過ごすことができた。

 出演できるとなるとけんめいに練習し、そのチャンスをいただくごとに上手くなっていく。

 まことに寛大な拍手や、そういう機会をくださる方々に育てられることを、実感できる我がまちのアンサンブルは、本当にしあわせなのである。

佐山さつき